現在は、以下のような課題に取り組んでいる。
一次元磁性体は、伝統的な手法(例えば平均場近似、スピン波理論) では記述できない難儀な振舞を示すことがある。以下に述べる 統計力学の技術を駆使することによって、実験結果を理解したり、 整理することができる。例えば、S=1反強磁性体(Ni(C5H14N2)2N3(PF6)) の磁場-温度相図やS=1/2反強磁性体 (CuGeO3)(相互作用が遠距離になりややこしい) の(非)弾性中性子散乱がそれである。
スピン模型は、上述のように磁性体のよい模型になるばかりでなく、 統計力学の計算技術を鍛錬する舞台ともなる。 新しい計算技術 (厳密対角化、密度行列繰り込み法(有限温度、絶対零度)、 量子モンテカルロ法(ループアルゴリズム、連続時間アルゴリズム)などなど) の発展に、注意を払っている。 そして、それらの技術を駆使して、きわめてきびしい様々な問題 (摩擦のある量子系、ランダムネスによる絶対零度臨界現象、非平衡輸送 現象などなど)に、取り組んでいる。