本研究室への志望を検討している学生への情報
我々の研究室は「超伝導」や「スピン流」など物性物理で注目されている物理現象の理解を目指した
「理論研究」を進めています。
4年生の「情報物理学課題研究」と大学院生の受け入れは、
市岡・安立グループとJeschke・大槻グループが共同で実施していますので、
Jeschke教授・
大槻准教授
の研究指導を受けたい学生も当研究室の枠(教育研究分野:量子多体物理学)を志望してください。
以下は、物理学科4年生の「物理学課題研究」の内容についての説明ですが、
大学院入学後の研究室活動にも共通するので、大学院入試で本研究室を志望する場合も参考にしてください。
4年生の「物理学課題研究」の内容
「課題研究」は市岡・安立グループとJeschke・大槻グループに分かれますが、
「物理学の勉強」と「コンピューター計算実習」は両グループの共同で指導します。
(1) 物理学の勉強
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研究に必要な基礎知識として、超伝導のBCS理論や 多体量子系に関する理論(グリーン関数や線形応答理論など)などを学習します。
そのため、週1回、4年生の輪講(学生が教科書等を順番で発表する形式)をします。
その教科書は、年度始めに担当教員と学生の相談により決めます。
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週1回程度の研究室セミナーに出席し、研究室メンバー(教員・学生)の研究内容の発表や議論から、
物性理論研究について学んでいきます。
- 前期のうちは、大学院入試に向けた物理の勉強も督励しています。
(2) コンピューター計算実習
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研究に必要な技能となるコンピューター利用について、
数値計算等のコンピューター実習を行います。
実習では、基礎的なプログラムの書き方からはじめ、
将来の研究にも役立つプログラミングへと発展させていきます。
また、第一原理電子状態計算ソフトウエアを利用した計算実習にも取り組む予定です。
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学生一人一人に、机、ノートPCを用意し、最新の計算用PCを利用できる環境を用意しています。
(3) 課題研究
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4月に教員(市岡・安立とJeschke・大槻)のそれぞれの研究の詳細を説明し、
卒業研究の指導教員を決めます。
その後は、指導教員と相談しながら、卒業研究のための情報集めや理論の勉強などから始め、
未解明問題の解決に向けた理論計算など研究活動を進めていきます。
研究室セミナー等での研究の進捗状況の報告や、
中間発表会(12月頃)・卒論発表会(2月)により、研究とプレゼンテーションの力を磨きます。
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4年次の研究課題については、教員も課題を提案しますが、
自主性も尊重しますので学生が物理学の独自課題で研究することも可能です。
ただし、本研究室への大学院進学者は、
下記の研究室の主な研究課題の中からテーマを見つけ、
大学院での研究に発展させると良いと思います。
これらは、我々の研究室が持つ、世界にも通用する理論計算の手法ですので、
先輩や教員からその技法を学び習得すると、
学術論文発表に値する成果を生み出すことが可能となります。
実際、4年生で始めた研究の成果を大学院進学後に学術論文(Physical Reviewなど)や物理学会・国際会議で発表している先輩が多くいます
(
2020年の実績,
2019年の実績,
2018年の実績,
2017年の実績)
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しっかりとした研究ができる学生は、大学院進学や 就職活動でも高く評価されます。
また、当研究室では、大学院博士後期課程へ進学し「博士」号を取得して活躍できる人材の育成も
視野に入れ研究指導をしています。
研究室の主な研究課題
- 市岡(Ichioka)教授
- 第2種超伝導体に磁場をかけると、磁束の渦糸が超伝導に侵入し局所的に超伝導が壊れた空間領域が発生します。市岡の研究では渦糸や表面など超伝導が空間変化する構造を理論計算し、その空間構造や磁場中の超伝導体の物性の中に、非従来型超伝導やトポロジカル超伝導などの特異な特徴がどのように出現するかを明らかにする研究を進めています。
超伝導の空間変化構造に関する研究での主な理論計算手法としては、(1)Bogoliubov-de Gennes方程式によるエネルギー固有値と波動関数の計算、(2)Eilenberger理論による準古典Green 関数の計算、(3)時間発展Ginzburg-Landau方程式による渦糸の運動のシミュレーションなどを用いています。
- 安立(Adachi)准教授
- 2007年のノーベル物理学賞は、磁気ハードディスクの小型化に貢献した「巨大磁気抵抗効果(Giant magnetoresistance; GMR)」の研究に対して送られました。この受賞以降、電子の電荷に加えて電子のスピン偏極(またその流れであるスピン流)を積極的に利用する「スピントロニクス」という技術の研究が盛んになってきました。この「スピン流」に着目した新しい物理の研究を行っています。
スピン流の物理に興味のある方は、たとえば以下の本の2章と3章に目を通してみて下さい:
齊藤、村上 著「スピン流とトポロジカル絶縁体」(共立出版)
- ジェシュケ(Jeschke)教授、大槻(Otsuki)准教授
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研究内容は
Harald O. Jeschke教授
と
大槻准教授
のホームページをご覧ください。
〔参考情報:研究室卒業生の進路〕
- 4年生卒業(B4)
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- 大学院Mへ進学(岡山大、他大学)
- 就職(高等学校の教員、auじぶん銀行、
冨士発條、両備システムズ、山口ファイナンシャルグループ、JA鹿児島県連、みずほ総研、光通信、…)
- 大学院博士前期課程修了(M2)
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- 大学院Dへ進学 (日本学術振興会特別研究員DCも)
- 就職 (
トヨタシステムズ、岡山村田製作所、グローリー、ジーニー、
サントリーシステムテクノロジー、コーエーテクモホールディングス、トヨタコミュニケーションシステムズ、ダイナテック、日本ガイシ、タカヤ、NTT西日本、アサゴエ工業、ニコン、NECシステムテクノロジー、富士通エフサス、TIS、古河電工、…)
- 大学院博士後期課程修了(D3)
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