林 伸彦,Manfred Sigrist:
「解説:空間反転対称性のない系での超伝導」
固体物理 Vol. 41 (2006) pp. 631 - 644, (No. 10, pp. 1 - 14).
鏡に映るあちらがわの世界とこちらがわの世界.
もしそれらの間に不均衡があると…….
自然界における鏡像反転の対称性の破れは,これまで
さまざまな領域において絶えず人々の興味を惹きつけてきた.
固体結晶において,結晶の構造に
空間反転の対称性が欠損していると,
そこには鏡像反転の対称性の破れた系が
実現する.
そのような結晶構造をもつ物質のうち,
超伝導性を示すものがいくつか知られている.
とくにここ数年の間に,そのような物質で新しいものが次々と発見され,
さらにそれらが通常の超伝導体とは異なった物性を示す兆候があるということで,
現在,空間反転対称性のない系での超伝導について関心が高まってきている.
本稿では,その超伝導の基本的な特徴について解説するとともに
最近の研究の発展について述べる.
誤植について:
出版版の第3ページ(633ページ)、左コラムの下部で「 g(k) = -g(k) 」とありますが、
正しくは「 g(-k) = -g(k) 」です。
投稿時の原稿