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講演会のお知らせ (11/8:田嶋 尚也 氏 (東邦大学 理学部物理学科 教授))
講演題目:「有機ディラック電子系の発見から最近の新展開まで」
講師:田嶋 尚也 氏 (東邦大学 理学部物理学科 教授)
日時:11月8日(火)16:30
場所:コラボレーション棟3階 コラボレーション室
概要:
近年、固体中の電子がとりうる特殊なエネルギー構造により、質量ゼロのディラック/ワイル電子が多くの物質で実現し、固体中電子の一類型として広く認知された。光錐状の特殊な分散(ディラックコーン)が上下突き合わせ、「点」(ディラック点)で接して電子質量がゼロとなる。
その中で我々は、有機導体alpha-(BEDT-TTF)2I3の高圧下において世界で最初のバルクな(多層状)質量ゼロのディラック電子系を発見した。最近では、多くの研究者によりバルクである特徴を活かした物理が進展されている。特に、この物質は常圧力下・低温では電荷秩序絶縁体だが、静水圧力印加で質量ゼロのディラック電子系に“量子相転移” する[8]。電荷秩序絶縁体相のように強相関電子系に隣接したディラック電子系はこの物質が初めてである。この物質を舞台にディラック電子の電子相関効果の物理が展開されている。
本講演では、最初に質量ゼロのディラック電子系alpha-(BEDT-TTF)2I3がどのように発見されたのかを簡単に紹介し、最近の面白い展開について述べる。
講演リーフレット
References
[1] S. Katayama, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 75, 054705 (2006).
[2] N. Tajima, et al., J. Phys. Soc. Jpn., 75, 051010 (2006).
[3] K. Kajita, et al., J. Phys. Soc. Jan. 83, 072002 (2014).
[4] T. Osada, J. Phys. Soc. Jpn. 77, 084711 (2008).
[5] N. Tajima, Phys. Rev. Lett. 102, 176403 (2009).
[6] T. Konoike, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 81, 043601 (2012).
[7] M. Hirata, et al., Nature Comm. 7, 12666 (2016).
[8] Y. Unozawa, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 89, 2137902 (2020).
世話人 量子物性物理学 研究室 笠原 成 (内線7828)