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6/2:講演会のお知らせ 廣井善二 氏 (東京大学物性研究所 教授)

固体物理セミナー 「高温超伝導入門」
講師:廣井善二 氏 (東京大学 物性研究所 教授)
日時 : 6月2日(月)13:25-15:15
会場 : 理学部2号館4階 第9講義室

【講演要旨】
超伝導は固体が示すもっとも劇的な現象の一つである.超伝導体の電気抵抗は臨界温度Tcで急激に変化し,それ以下で完全にゼロとなる.超伝導現象自身は圧倒的に固体物理学の研究テーマだが,39年前の銅酸化物超伝導の発見以降,講演者を含む多くの固体化学者がこの研究分野に参入し,新物質探索および良質な試料合成を通して多大な貢献をしてきた.結果として,鉄系超伝導体や最近ではニッケル酸化物を含む多くの超伝導体の発見に繋がった.超伝導現象の理解には固体物理の高度な知識が必要となるが,超伝導物質を研究するには必ずしもそうではない.多くの超伝導体を眺め,それらをさまざまな超伝導機構に基づいて整理して,最も重要なパラメータであるTc向上の指針を議論しよう.特に通常条件で最高のTcを有する銅酸化物超伝導体について,顕著なTcの物質依存性の原因を考察し,その背後にある,高いTcを生み出す非従来型の超伝導機構を考察する.銅酸化物超伝導の理解は現在でも混沌とした状況にあると思われているが,枝葉末節を削ぎ落としてしまえば,従来のフォノン機構と同様に意外と単純なストーリーがあると信じる.より高いTcを得るための方策を考え,若い世代が近い将来に未踏の室温超伝導体発見に辿り着く手助けになればと願う.

世話人 物理学科 小林達生 (内線 7826)