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日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 研究主幹)
講演会のお知らせ (12/19: 吉井賢資 先生
日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 研究主幹)
演題:「放射光を用いた共鳴X線発光分光法による固体物質の電子状態測定」
講師: 吉井賢資 先生 (日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 研究主幹)
日時:12月19日 16:00
場所:コラボレーション棟3階 コラボレーション室
概要:
放射光という人工の光が誕生して半世紀ほどになる。元々は素粒子実験用加速器のエネルギーロスであると見做されていたこの光は、半世紀間の発展を経て、指向性・高輝度性・エネルギー連続性・偏光性・パルス性などの様々な特長を備え、物性科学を初めとした科学技術研究にとって欠かせないツールとなった。これらの特徴の中で、エネルギー連続性を利用して特定元素の内殻電子を非占有軌道に励起する共鳴励起は、放射光の利用法として最も基本的かつ重要なものである。
共鳴励起を、元素分析に用いられるX線発光分光と組合せた共鳴X線発光分光法は、原理的に高分解能性を有しているため[1]、物質の電子状態測定に有効な手段である。講演者は最近この手法を利用し、主に酸化物の電子状態の測定を行っている。例えば、強誘電体BaTiO3において、孤立イオンであり物性に重要でないと思われていたBa2+が周囲のO2-と化学結合を有し、誘電性に寄与している可能性を報告した[1-2]。本講演では、共鳴X線発光分光法の原理、実験装置、測定例などに触れ、本手法の有用性を紹介する。
[1] K. Hämäläinen et al., Phys. Rev. Lett. 67, 2850 (1991).
[2] K. Yoshii et al. Jpn. J. Appl. Phys. 50, 09NE03 (2011);
J. Phys. Chem. Solids 73, 1106 (2012), ibid, in press (2013).
連 絡 先:横谷尚睦 (内線7897)