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平成30年度(2018年度)第7回 物理教室談話会
題目 | 多極子が織りなす特異な電子状態と相図 |
講師 | 井澤 公一 氏 (大阪大学大学院基礎工学研究科 教授) |
日時 | 平成30年12月18日(火) 16:20~ |
場所 | コラボレーションセンター 3階307室(コラボレーション室) |
概要 |
強相関電子系では,電荷,スピン,軌道といった電子の内部自由度に由来した多種多様な電子状態がみられる.特に希土類化合物やアクチノイド化合物など物質群(f 電子系)では,重い電子,磁気秩序,非フェルミ液体(NFL) 的挙動,非従来型超伝導などの興味深い現象が数多く見出されている.これらの現象の多くは,f 電子のスピン自由度にその起源をもち,伝導電子との混成強度を横軸にとったドニアック相図と呼ばれる普遍的な相図に基づいた議論により統一的な理解が進んできた.一方,電子の軌道(多極子)自由度が活性で本質的な場合については,どのような電子状態が実現し,どのように理解すれば良いか,さらにはドニアック描像のような普遍的描像で理解可能か,など興味深い非自明な問題が存在するが,これまでほとんど明らかにはされてはいなかった. 最近,我々は,電気四極子の自由度が活性なPr 化合物PrT2Zn20 (T=Ir, Rh) の極低温高磁場環境下における輸送係数の測定を系統的に行い,磁場・温度相図を明らかにした[1] .本セミナーでは,その結果をもとに多極子自由度が活性な系特有の特異な電子状態を紹介したのち,それらをどのように理解できるか議論する. [1] T. Yoshida, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 86, 044711 (2017). |
世話人 | 異分野基礎科学研究所 小林 達生(内線7826) |