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令和 2年度(2020年度)第4回 物理教室談話会
題目 | 共鳴非弾性X線散乱でみた銅酸化物高温超伝導体のスピン・電荷励起 |
講師 | 遠山 貴巳 氏 (東京理科大学理学部応用物理学科 教授) |
日時 | 令和 2年12月17日(木) 16:20~ |
場所 | オンライン |
概要 |
共鳴非弾性X線散乱(RIXS)は、角度分解光電子分光とともに銅酸化物高温超伝導体を舞台として大きく発展した手法である[1]。入射X線による銅内核2p電子の3d軌道への励起を経由した散乱スペクトルの低エネルギー領域には、同一3d軌道内の電荷励起や2マグノン励起が現れる。これらのスピン非反転励起に加えて、内核のスピン・軌道相互作用に起因するスピン反転励起((パラ)マグノン励起)が観測される。本講演では、RIXSを用いた高温超伝導体研究の現状と、我々のグループの理論研究を紹介する。特に、RIXSスペクトル強度の入射光依存性とホールドープ系と電子ドープ系の振る舞いの違い[2]、ストライプ秩序でのスピン励起[3]、反強磁性相の時間分解RIXSに対する理論的予測[4]など、厳密対角化法や動的密度行列繰り込み群法による励起スペクトルの計算を通して明らかになった特徴を実験と比較しながら紹介する。
[1]レビューとして例えば、T. Tohyama, J. Elec. Spectro. Related Phenomena 200, 209 (2015). [2]K. Tsutsui and T. Tohyama, Phys. Rev. B 94, 085144 (2016); 遠山貴巳、固体物理 55, No. 8, 369 (2020). [3]T.Tohyama, M.Mori, and S.Sota, Phys.Rev.B 97,235137 (2018). [4]K. Tsutsui, K. Shinjyo, T. Tohyama, arXiv:2010.06151. |
世話人 | 鄭 国慶(内線7813) |