活動報告

ホーム > 活動報告 > 物理講演会・談話会 > 物理講演会2023-5

NEWS
Topics
講演会・研究会
内部限定

令和 5年度(2023年度)第4回 物理教室談話会

題目 PIKACHU 実験による160Gdの二重ベータ崩壊研究と機械学習を用いた次世代シンチレータ材料開発
講師 飯田 崇史 氏
(筑波大学助教)
日時 2023年10月19日(木)16:00-
場所 コラボレーション棟3階 コラボレーション室
概要  物質の対称性と機能性は密接に関係している。対称性を自発的に破る代表的な秩序としては、強磁性や強誘電性が挙げられるが、電子の軌道・スピンさらに構造の自由度までを考えると、強的な秩序の可能性はさらに広がる。強磁性や強誘電性とは異なるタイプの秩序として、近年脚光を浴びているのがトロイダルの秩序である。ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊(0nbb)の発見は、ニュートリノのマヨラナ性検証に不可欠であり世界中で探索が行われている。一方で標準理論の枠内で起こりうるニュートリノを放出する二重ベータ崩壊(2nbb)は、すでにいくつかの核種で発見されている。多くの核種で2nbbの半減期を精密に測ることは、二重ベータ崩壊反応の核行列要素計算を高精度化するために重要となる。
 我々のPIKACHU プロジェクトでは、大型高純度Ce:Gd3(Ga,Al)5O12 (GAGG) 結晶を用いて160Gdの二重ベータ崩壊を研究している。160Gdの2nbb反応は未発見であるが、2種類の核行列要素計算モデルが存在し約1桁異なる半減期を予測している。160Gdを用いた過去の研究に比べて感度を1桁強上げることで、2nbbの発見または理論の検証を目指している。
さらに将来の実験では、二重ベータ崩壊原子核(48Ca, 96Zr, 160Gd等)を含む、より高エネルギー分解能なシンチレータの存在が重要となる。我々は、機械学習を用いて次世代のシンチレータ材料の探索を行うための、基盤技術開発を進めている。
 本講演では、PIKACHU実験の現状と将来展望、そして機械学習を用いたシンチレータ開発の現状に関して報告する。

世話人 世話人  小汐由介(内線 7817)