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岡山大学理学部物理学科 教授 石野宏和のページです。

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研究室HP
岡山大学理学部

研究内容

宇宙マイクロ波背景放射の偏光測定による宇宙の始まりの研究

宇宙マイクロ波背景放射(CMB, cosmic microwave background)は、 宇宙でも最も古い光です。 ビックバンで宇宙が誕生してから38万年後にできた光です。 現在の宇宙年齢である138億歳と比べたら、いかに宇宙の初めの方でできたのかがわかります。 CMBは、宇宙の化石とも言われ、この宇宙の始まりに関する情報を沢山含んでいます。 CMBは偏光しています。その偏光パターンを詳しく調べると、 ビックバンの前に起きたインフレーションと呼ばれる宇宙大加速膨張の時に作られた 原始重力波の強さを測れるのです。 もし原始重力波の大きさが測れると、加速膨張が起きた原因を調べることができ、 また、LHCの1兆倍のエネルギースケールでの物理に迫ることができます。 そのエネルギースケールを探ることは、電磁気力・弱い力・強い力が統一された力として働いていたと 考えられる大統一理論の検証にもつながる可能性があります。 私たちの研究室では、その原始重力波を捕えるために、 科学衛星計画LiteBIRD を推進しています。 LiteBIRDは、日本・アメリカ・カナダ・ドイツの総勢100名からなる国際的な組織が進めている 科学衛星計画です。 約2000もの超伝導素子を搭載し、CMBの偏光を究極の感度で測定することを目指しています。

超伝導検出器開発

CMBの偏光を精密に測るためには、高感度な検出器が必要です。 300km離れた豆電球を見るのと同じぐらいの感度です。 しかも電波の一種であるミリ波を捕えないといけません。 超伝導を用いた検出器が唯一それを可能にするのです。 私たちの研究室では、超伝導検出器の開発を行っています。
超伝導検出器は、この世の中にある検出器の中で最も高感度な検出器です。 それは、超伝導という特異な性質を使うからです。 私たちの研究室は、この性質を用いることにより、CMB観測だけでなく、 暗黒物質探索や究極の大面積X線カメラの開発とその放射光科学への応用など、 新しいサイエンスを切り開くことも視野にいれて開発を進めています。

スーパーカミオカ実験での超新星爆発ニュートリノモニター

私はスーパーカミオカンデにおいて、超新星爆発ニュートリノモニターに携わっています。 起きた直後に、世界中に情報を伝えるシステムと、超新星爆発が 起きた方向をニュートリノのみからすぐさま計算する方法を開発しています。 超新星爆発は、私たち自身を構成している元素の産みの親です。 この爆発は、いったいどのようにして起きるのか。その仕組みはまだよく解明されていません。 というのは、これまで観測されてきた超新星爆発は、ほとんどが可視光などの電磁波によるもので、 電磁波では爆発の表面しか観測できないからです。 ニュートリノは、物質とほとんど相互作用しないので、超新星爆発の中心部から直接私たちのところに 飛んできます。ですので、ニュートリノを検出し、その信号を詳しく調べれば、超新星爆発の内部を 見ることができるようになります。 また、超新星爆発では、ニュートリノ方が光よりも早く放出されるために、 ニュートリノで超新星爆発をとらえることにより、世界にいち早く通知し、 光学的に爆発の最初から観測することができるかもしれません。
スーパーカミオカンデは世界で最も大きな検出器のため、超新星爆発に最も高い感度を持ちます。 私たちのグループは、超新星爆発によるニュートリノバーストをいち早く発見し、 世界に速報するシステムの開発を行っています。