2016 News
国際会議ISS2016は、超伝導関連の国際会議で、
東京国際フォーラムで行われました。ヘリウムを用いた暗黒物質探索用検出器で開発している
超伝導検出器について、石野は口頭発表、喜田はポスター発表を行いました。
国内外の方々と議論ができ、有意義な会議だったと思います。
放医研でLiteBIRDで使用する光学部材の陽子ビーム照射試験を行いました。
参加者は、岡山大・横国大・国立天文台からの学生・研究者です。
岡山大の小松が、試料の物質量を考慮して、照射する順番を決めました。
wiki pageの整備からログブックへの記録、実験の段取りすべてにおいてリードし、大活躍でした。
放医研での陽子ビームプロジェクトは、今回で申請分が終了となり、
来年度からは新規継続という形で現在審査中です。
11月28日ー12月1日に、パリ大学宇宙物理研究所のMartin Bucher先生が、研究室に滞在されました。
また、11月29日には、セミナーをして頂きました。
Martin Bucher先生は、CMBに関連する理論の論文を多数出版されています。
LiteBIRDについて共同で研究をしており、今回の滞在では様々な議論を行うことができ、進展がありました。
11月27日の日曜の夕方に岡山に到着し、その日は後楽園と岡山城を観光し、ご満悦のようでした。
先生とは研究のみならずいろいろな面で大変有意義な時間を過ごせました。
10月26・27日に、東北大学で
超伝導エレクトロニクス研究会が開催されました。
今年度から東北大学の電気通信研究所と共同プロジェクト研究を開始し、石野が代表者を務めることになりました。
招待講演3件と一般講演10件の発表があり、超伝導に係わる研究者と意見交換を行いました。
当研究室の山田と喜田も、これまでの成果の発表を行いました。
共同研究プロジェクトによる、旅費と物件費のサポートを感謝します。
フランスのパリ第七大学から、Guillaume Patanchonさんが来学されました。
Guillaumeさんは、Planck衛星実験をこれまでやってきてこられ、生データの処理から
物理解析までの解析パイプラインを作成したエキスパートです。Planckの次に行う実験として
LiteBIRDに興味があり、共同研究をすることになりました。
Planckの経験によるLessons Learned について詳しく説明され、LiteBIRDの設計に対する
アドバイスを提言されるばかりか、ご自身が手を動かし、解析コードを作成することも
しており、大変バイタリティのある研究者です。
9月8日に「Measurement of the Cosmic Microwave Background anisotropies and polarization with Planck」
というタイトルで談話会を開き、学生らとの英語での議論を行いました。
放医研で第四回目の陽子ビーム照射試験を行いました。
今回は、サファイアなどの光学部材と、アメリカグループから支給された
検出器などを照射しました。
参加者は、岡山大からは石野・魚住・喜田・小松・秀平、横浜国立大学から山下・藤野・金井、
KEKから南でした。
夜9時にビームがもらえて、その後ビームチューンを経たのちに、午後10時から照射試験を開始しました。
今回は大変順調にビームが照射され、次の日の午前5時に終了しました。
みなさんお疲れ様でした。
照射後の試料の測定は、放射化が冷める2週間後以降になります。
右の写真は、照射試料をビームラインに配置している様子です。
スコットランドのエディンバラで
SPIEの国際会議
が開かれ、LiteBIRDについて講演しました。
会議は大変盛況で1000人ぐらいはいたと思います。
エディンバラの街並みも大変きれいでした。
ハギスという料理とビールも堪能しました。今度はプライベートで観光に行きたいですね。
右の写真は街並みの風景です。
スーパー神岡実験は1996年から始まり、今年で20年になります。
私は、1994年に大学院生M1から、スーパー神岡実験の建設に携わりました。
20年間稼働し続けているということで大変うれしく誇りに思います。
次回は30周年記念があるとよいです。それまでに超新星爆発ニュートリノバーストが見つかればよいのですが。
井上優貴さんは、2011年に岡山大の私の研究室から卒業し、総研大へ進学、2016年3月にめでたく博士を取得しました。
博士論文はPOLARBEAR2の低温光学系の開発とその結果について執筆しました。
岡山大の出身で、第一線の研究成果を上げてきており、大変誇りに思います。
セミナーでは、低温光学系の開発について詳細なお話しをされました。
セミナー後の飲み会では、現研究室の学生である後輩とディープな議論を繰り広げられたことは大変良かったです。
石野が主著者として執筆した論文「Real-Time Supernova Neutrino Burst Monitor at Super-Kamiokande」
がAstroparticle Physics に掲載されました:
Astropart. Phys. 81 (2016) 39-48, doi:10.1016/j.astropartphys.2016.04.003。
この論文は、スーパー神岡実験における近傍超新星爆発によるニュートリノバーストをオンラインシステムで
即時に見つけ、その情報を世界に発信するシステムに関することを記述しています。
超新星爆発ニュートリノは電磁波よりも数時間~数日早く地球にやってきます。
これは、ニュートリノは超新星爆発の中心部からほとんど相互作用なしにやってくるのに対し、
電磁波は衝撃波が表面に到達して初めて見えるようになるからです。
ニュートリノバーストの観測を全世界に発信できれば、超新星爆発が始まる瞬間を電磁波で観測できる
可能性があり、超新星爆発がなぜ起きるのかという長年の謎に知見を与えることができると考えられます。
また、スーパー神岡実験は世界で最大の検出器であるので、このニュートリノバーストには、現時点で最も
高い感度を持ちます。
加えて、ニュートリノが飛来した方向も決定できるので、超新星爆発が起きた位置も同定できます。
アメリカのJPL (Jet Propulsion Laboratory, California Institute of Technology)から来学された
Krzysztof M. Gorski教授による講演が行われました。Kris教授は、アメリカのCOBE衛星やヨーロッパの
Planck衛星実験において、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の研究をされてきました。
また、Healpixと呼ばれるソフトウェアの開発者でもあります。Healpixは、宇宙や天文など幅広い分野
で世界中で利用されているツールで、私もデータ解析でよく使用しています。
Kris教授は「The Future of Cosmology with the CMB」というタイトルで講演され、これまでのCMBの歴史と
今後の研究の方向について詳しく述べられました。