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卒業生から一言

未知の真実と出会う場所
 かつてニュートンが古典力学を完成させるまで、 人々はリンゴが落ちる現象と惑星の動きが同じ法則から導かれることを知りませんでした。 あるいはアインシュタインが相対性理論を提唱する以前、 時間や空間が伸び縮みすることがあるとは誰も思わなかったでしょう。物理学にはそのように、 今までの常識や定説を一気にひっくり返してしまう瞬間があります。
 私にとって、岡山大学の物理学科で過ごす時間は、そんな驚きと興奮に満ちたものでした。 学生生活で得た知識はもちろん、わからないことを地道に考え抜く習慣や、 事実に対して常に誠実である姿勢は、エンジニアとして仕事を行う現在でも貴重な財産となっていると感じます。
 皆さんも、物理学を通して今まで想像もしたことのない世界について考え、 理解できた瞬間の深い喜びを味わってみませんか。

 
竹内有利佳
竹内 有利佳

平成30年
大学院自然科学研究科
博士前期課程修了
東京エレクトロン株式会社


原理原則を学び、現象を理解する
 なぜ空は青いのか、なぜ水は凍ると膨らむのか。私はそんな身の回りの「なぜ」に答えてくれる 物理学をもっと深く学びたいと思い、地元である岡山大学の物理学科に入学しました。大学では 超高圧力下での氷の研究をしていました。研究とは、世界でまだ誰も知らないことを実験的・理 論的な根拠を持ってその現象を証明するものです。その過程では、①原理原則に基づいて現象を 分析する力 ②柔軟かつ理に適った作戦を考える力が必要です。現在は自動車部品メーカーで品 質保証の仕事をしていますが、この能力は常々求められていると感じます。大学時代に思う存分 研究に取り組んだおかげで、その基礎を自然に身につけることができたのだと思います。
 少々堅苦しいことを書きましたが、世界で誰も知らないことを自分の手で自由に研究していくこ とは非常に楽しいものです。皆さんも物理学科で学び、未知への挑戦をしてみませんか。

 
山川さおり
山川 さおり

平成27年
大学院自然科学研究科
博士前期課程修了
株式会社デンソー


私はもともと物理が好きで、大学で物理について学びたいと思い岡山大学理学部物理学科を受験しました。 大学では力学、電磁気学、統計力学、量子力学をはじめ、相対性理論や固体物理学など物理について様々な ことを学びました。大学院では、超伝導(冷やすと抵抗がゼロになる性質!)を研究しました。物理学を学ぶことで、 電場、磁場の向きなどの実際に見ることの出来ないものや、原子や光などの様々な物の性質を論理的・体系的に 理解することができます。実はこのような見方はとても大切で、仕事においてとても重要視される能力です。 皆さんが将来どのような仕事に就くか分かりません。しかしどのような職業でも、社会では体系的に考え、 説明する力、論理的思考力が要求されます。社会はそういう人を求めています。私自身、会社で岡山大学で培った 論理的思考を仕事に生かしています。理学部は論理的思考を身につけるにはとてもいい所です。ぜひ皆さんも岡山 大学理学部で学び、社会で活躍できる人になって下さい。

 
田邉英章
田邉 英章

平成25年
大学院自然科学研究科
博士前期課程修了
株式会社リコー


卒業生へのインタビュー
陰から支える技術が輝いて見えた世の中を変えるモノ作りの世界に飛び込んだ

岡山大学理学部を志望したきっかけを教えてください。
 高校生の頃はまだ明確な将来像はありませんでしたが、物理や化学が得意だったので自然な流れでした。 モノ(物)の『理(ことわり)』が『物理』なんですよね。ある現象が式で説明できる。 こういう原理があるからこうなる、ということがどんどん明確になっていくのが楽しくて、 もっと深く勉強したいと思ったのが岡山大学理学部を志したきっかけです。

なぜ今の職業を選んだのですか?
 研究職として大学に残る道や、高校教員という道も考えたのですが、 「モノ作り」に魅力を感じて、技術者としてこの会社に就職しました。 生産過程における最終工程や組立工場は、アジア圏や発展途上国が台頭している時代ですが、 技術的な面においては、長く培われてきた日本の技術(日本人)の方が、まだまだ秀でていると思っています。 お客様や製造現場からのリクエストに応えられる特性や外観のものを開発し、 製品というカタチになることに、やりがいや喜びを感じています。 また、自分の開発した技術が、世界中で使われている製品や皆さんが持っている物の中で利用されているということに誇りを持っています。

大学で学んだことでどんなことが今の仕事に活かされていますか?
 大学での研究がそのまま今の仕事に結び付いているということは、実はほとんどありません。 でも、事実・事象に対してなぜそうなるのかを正しく見極めて考え、 判断する力を養えたことが、今とても役に立っています。 また、休日を返上して研究に没頭したり、論文を書くために地道な考察を積み重ねたりしたことで培った忍耐力や探究心は、 社会に出てからの生活に確実に活かされていますね。 新しい物質を作り出して学会などで評価を受けたことは、モノ作りの会社を志望するきっかけでもありました。
 最先端の研究設備や不自由のない環境で、仲間と一緒に研究できたことはありがたかったですし、 SPring-8(兵庫県佐用郡にある大型放射光施設)などの研究機関で実験を行ったことも、良い経験になりました。

岡山大学理学部を目指す高校生へメッセージをお願いします。
 岡山大学では、先生からの指示は大まかにありましたが、 細かいところの工夫や変更を自由にさせてもらえる雰囲気だったので、 とてもやりがいがありました。もちろん結果の考察や論文を書くときには、 先生からしっかりと、厳しくも優しいフォローをしていただきました。 それからこれは私の実体験ですが、入社してから海外の製造工場とのやりとりに英語が必要となり、最初は苦労しました。 学生のうちに語学もしっかり習得しておいてください。
 岡山大学理学部の研究環境から拡がる可能性は無限です。 学生時代にいろいろなことを経験して、将来の夢を見つけてください。

 
山成悠介
山成 悠介

平成22年
大学院自然科学研究科
博士前期課程修了
日東電工株式会社



平成30年度 大学院自然科学研究科博士前期課程修了
片岡雄一郎 (株式会社SUMCO)
私は、何事もまず直接自分の目で見ることに重点を置いて就職活動しました。少しでも気になった企業の説明会に参加することで、インターネットの情報などからは分からない会社の雰囲気を知ることができ、自分がその会社で働くイメージを描くことができました。就職活動は今後の人生を左右する重要なイベントです。その重要性に物怖じすることなく行動することで、自分のやりたいことに近づけると思います。

平成30年度 物理学科卒業
浅田翔一朗 (富士通株式会社)
私が就職活動を通してかかわった人々の中でいわゆる「成功」した人というのは自分の中に芯を持っていました。では、芯というのは具体的にどういうものか、私は興味と経験だと考えています。自分の興味を知るためには、何をしたいか、何を知りたいかといったことだけではなく、これから自分が働く上で何が大事かも含めて考える必要があります。興味を知る事が、自分に合った会社を見つけることに繋がります。また、自身を魅力的に見せるためには、熱意を持って語れる経験が必要です。オンリーワンな経験でもよいですし、何かに一生懸命になったことでもよいと思います。特別でなくとも、成し遂げたことがあると自信に繋がります。就職活動は自分を見つめなおす良い機会です。満足のいく結果が出ることを祈っています。

平成28年度 大学院自然科学研究科博士前期課程修了
尾形 誠(株式会社 村田製作所)
私は、就職活動において2つのことを大切にしました。1つ目は、会社の方とのコミュニケーションです。社員の方とのお話の中で会社の雰囲気を知り、加えて自分にできることを具体化していきました。2つ目は、10年以上先の未来で働いている自分の姿を想像することです。技術者として成長し、世の中をより良くできるモノ作りに取り組む姿を思い描きました。現在は設計開発の分野で、未来を作るためのモノ作りに挑戦しています。

 
 私は、平成3年に理学部 物理学科に入学しました。大学では、テニスサークルに所属し、多くの先輩・友人・後輩ができ、楽しい学生生活を過ごしました。学業の方ですが、学部3年までは一般教養・専門教育の履修が中心でした。私の場合、高校教諭免許(理科)も取得したので、他学科(化学科、生物学科、地学科)および教育学部の単位も取得せねばならず、結構忙しかったです。学部4年から修士課程修了までの3年間量子物質物理学研究室に所属し、「C60TDAEの単結晶作成及びその構造と磁性についての研究」というテーマに取り組みました。研究は、単結晶作成から始まるのですが、これには相当苦労しました。作成方法・条件について試行錯誤を重ね、ようやく作成に成功し、その単結晶のX線構造解析を行い、常温から低温における結晶構造を明らかにしました。研究は大変でしたが、先生方の的確なアドバイスと充実した研究設備のおかげで、有意義な研究ができました。修士課程修了後、日本電信電話株式会社に入社し、アクセス網研究所にて、ホームネットワークシステムに関する研究に取り組みました。現在は、アクセスサービスシステム研究所にて、ホームネットワークにおける統一的なデバイス操作方法に関する研究に取り組んでいます。入社後の研究テーマは、学生時代のそれとは全く異なるものですが、様々な困難を乗り越え成果を得たという経験は、今でも十分に役立っています。

片山 和典
片山 和典
物理学科大学院修士課程卒
1997年 日本電信電話株式会社 入社
アクセスサービスシステム研究所




目的を持って,努力する

 私が物理学科を選択した1番の理由は、「物理実験が好きだから」でした。高校の物理は、あまり得意ではなかったのですが、大学入学後は、最先端の実験がしたい、という一心で勉強をし、大学院へ進学しました。今は、念願かなって「低次元導体のミクロ結晶と電荷密度波」というテーマで、研究をしています。これまでに、兵庫県にある大型放射光施設SPring-8を使って、トポロジカル結晶という、リング、8の字といった形状を持つ新物質のX線構造解析を行いました。本来、X線構造解析では、結晶内の原子が並進対称性を持って配列していることに基礎を置いているために、トポロジカル結晶では、従来の実験方法は使えず、実験方法の模索から始めました。大変な実験でしたが、共同研究者らと共に、新しい装置を開発し、構造決定に成功しました。
 大学に入ると、学生生活でも研究でも、みんな、ほとんどゼロからのスタートになると思います。だから、大学で成功するかどうかは本人の頑張り次第、やる気のある人、自然科学に興味のある人は物理を学んでみませんか?

山本 健一郎
山本 健一郎
大学院自然科学研究科博士課程卒




 
 私は平成17年3月に岡山大学理学部物理学科を卒業し、大学院自然科学研究科数理物理専攻に進学しました。純粋な物理を勉強する「物理学科」というのは、全国にも少ないと聞きます。学部では古典力学から始まり、電磁気学、量子力学、熱・統計力学と、物理の基礎を勉強することになります。物理は非常に難しいと言われますが、正直私もそう思います。しかし、そういった難しい記述の向こうに自然現象の本質が隠れており、それを理解していく中に物理の面白さを見出せると思います。また、その洗練された美しい理論体系も魅力的です。
 さて、大学に入ると自由な時間が多くなると思います。岡山大学には大変多くの部・サークルが存在しておりどれを選ぶか迷ってしまうほどです。私は英語サークルに入っていました。岡山大学には毎年多くの留学生が集まるので、パーティーなどいろいろなイベントで異文化交流をすることができます。せっかく大学に入ったのならいろいろな新しい活動をしてみるのもいいと思います。
 最後に早期卒業について。理学部では早期卒業の制度があります。学部卒業の学位をもらえることから飛び級よりもいいと思います。早期卒業をすることが決まると、卒業研究、進学または就職の準備と忙しくなります。しかし、その分充実した毎日を送ることができると思います。私の場合は進学したのですが、早くに先輩たちの中に入り研究が始められ、先輩たちの研究・物理に対する姿勢を見てモチベーションアップにつながりました。
 新しい場所に立つのは勇気がいることですが、何事にもチャレンジすれば「新しい何か」を発見できると思います。あとは自分次第、目的意識を持って行動しましょう!

高橋 雅裕郎
高橋 雅裕
大学院自然科学研究科博士課程卒